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製造業で最も多いとされる挟まれ・巻き込まれ災害防⽌VR教育コンテンツの開発と安全体感VRトレーニングの活⽤について

川崎重工業株式会社
エネルギーソリューション&マリンカンパニー
プラントディビジョン環境プラント総括部
O&M技術部東部技術課 高橋正敏様
O&M技術部 部長 村瀬啓介様
(オンライン参加)
環境プラント総括部 O&M技術部 東部技術課
課⻑ 松井⿓之様
基幹職 ⽯井衛様
基幹職 藤野明剛様

「安全体感VR トレーニング」は建設業向けの高所墜落体験シナリオからスタートし、
製造業、鉄道業等、多岐に渡るコンテンツをラインナップしています。
川崎重工業株式会社様ではいち早くVR の可能性を感じプラント内で起こる、挟まれ事故防止の為のVR シナリオを共同で開発しました。
VR のご利用状況とその効果について、お話しを伺いました。

共同開発させて頂いたコンテンツ

NO.23スクリューフィーダー挟まれ事故体験

活用頂いているサービス

サブスクリプションサービス

「意識改革」の為のVR活用

VR導入前の安全教育とVR導入のきっかけ、理由をお聞かせ頂けますでしょうか

前提として、我々の現場では協力業者の作業員さんが作業されていて、我々は監督する立場にあります。現地に行き、安全パトロールという形で、安全の指導をしております。
以前はビデオを使用した教育をしておりましたが、受講者からすれば受け身、指導する立場からすると一方向の指導になっていました。
外部企業の危険体感訓練も以前からございますが、設備が大掛かりになったり、一度に多くの人を集めないといけないという問題があります。そんな中で疑似的な体験をする事ができ、尚且つ設備的にも簡易で、どこでも実施する事ができるVRというものが有効なひとつの手段になり得ると考えて導入する事にしました。

法的にも安全に関するルールは厳しくなっていますが、災害状況は如何でしょうか

ルールが厳格化してはいるものの、最後は作業員さんの意識になると考えています。いくらルールを作っても、意識が低ければ意味が無いので、意識を変えるという事がVR 導入の目的になります。災害状況としては、やはり挟まれ・巻き込まれが一番多く、飛来落下、熱中症というものもございます。次いで墜落・転落の順になっています。

VRの運用方法については、どのように実施頂いておりますでしょうか

基本的には弊社の社員が安全パトロールとして現場に出向いております。我々の方でセッティングをして現場の作業員さんにVR教育を実施しています。その際、なるべく現場の作業に近いコンテンツをピックアップして、体験して頂いております。
同時に体験頂く人数としては5~10人グループで体験頂いておりますが、多い時は20名程度の場合がございます。
感想としてですが、足場からの転落を体験した時に、本当にヒヤリとしました。作業員さんも体験した時にはふらつくくらい、臨場感があると感じています。
デメリットしては待っている間に、体験者の映像が簡単に投影できる様になれば良いなと考えております。また、初めての方は操作方法が分からずに戸惑う事がある様です。

サブスクリプションについても活用頂いておりますが、ご活用状況は如何でしょうか?

現場に合わせてコンテンツの種類を選んで体験していますが、脚立や、クレーンのコンテンツを活用しています。また、開口部廻りの危険体験についても活用しています。

今後VR について期待する事はどういったものになりますでしょうか?

実際に、弊社内で起こった災害事例を増やしていけたらと考えています。具体的にはやはり挟まれ・巻き込まれの種類を増やしたいと思っています。特に機器をメンテナンスする場合を想定して、シナリオを増やして頂ければ助かります。
グラインダー災害や、熱中症についてのコンテンツについても期待しています。
機材についても、現状Quest 等でかなり簡便にはなっていますが、更に機材的に簡単になっていけば良いと思っています。
また、作業員の経験や年齢によって感じ方、災害要因がかなり変わってくるので、経験年数、年齢によってシナリオを選択する事ができるようなシステムがあれば良いと思いますね。VR だけではなく、MR を使用した現場で使用できるようなものも考えられると思います。
ハンドトラッキングの技術の向上による、よりリアルな作業体験や、音声認識によるインタラクションをもっと活用したコンテンツについてもやっていく事ができれば良いと思っています。
最近は外国人の労働者もおられますので、多言語対応をしていきたいと思います。現状はブラジル、ベトナムの方が多くなってきています。

スクリューフィーダーの挟まれ体験を共同開発させて頂きましたが、こちらについてもお聞かせ頂けますでしょうか

やはり挟まれ・巻き込まれの災害が多く、過去にもそのような災害がいくつかあり、一番多い災害を何とかしたいという事で、開発依頼を致しました。
体験だけではなく、考える部分も重視したかったので、体験前に安全に作業する為にどのような安全設備が必要か、選択するシーンを用意しています。
スクリューフィーダーに関しては、現場の取材がし易いというのがありました。実際に取材をして頂きましたが、見て頂いてリアルに再現したかったというのがございます。
今回のコンテンツのこだわりとしては、手順を踏んでいけば災害を回避できるシナリオにしておりますので、作業手順をしっかり学んでいく要素を入れています。

各現場で、しっかりとVR を活用頂けているという事、また今後に期待する内容についても数多くのご意見を頂く事ができました。
川崎重工業様、誠にありがとうございました!