
「TreeIt」無料で3D樹木を簡単に生成
アセット
積木では、VR体験の質を高めるために、人工物だけでなく自然環境においてもリアリズムの追求に力を入れています。手動で作成、アセットの購入など様々なやり方があります。
とはいえ、今回ぜひ注目していただきたいのは、無料で樹木を作成できるソフト『TreeIt』です。 その使い方や、便利なコツなどをご紹介していきたいと思います。
サンプルライブラリー
基本機能や特徴を紹介する前に、まずは TreeIt に用意されているサンプルライブラリをご紹介します。TreeIt にはあらかじめ25種類の植物サンプルが用意されており、ゼロから木を作成する必要はほとんどありません。 好みのサンプルをベースに細部を調整するだけで、リアルな木を簡単に作成できます。
以下はその一部のサンプルです。
ソフトの操作に慣れれば、木だけでなく、地面に生える植物や花などの生成も行えます。
基本機能
起動すると、幹・枝・葉・追加オブジェクト(果物など)の主に使われている4つのパーツが最初から自動的に追加されています。好みに応じて根や節を追加することも可能です。
それぞれの数、配置、大きさなど、多くの設定項目が用意されていますが、圧倒されるほど項目が多い一方で、実際によく使われるのは全体の3割程度です。
各パーツには共通した設定項目も多く、一つのパーツの調整に慣れれば、他のパーツもスムーズに扱えるようになります。 そこで実際によく使われる主要な設定項目に絞って、それぞれを詳しく紹介していきたいと思います。
詳細調整
1.数・ポリゴン数設定
幹、枝、葉などの数は「。。。Count」設定の調整でできます。
「...Sides」や「...Segments」の設定調整で、円形や曲線部分の滑らかさを調整できます。 VRでは距離によって、3辺でも12辺でも同じように見えることがあり、最適な設定は試行錯誤で決める必要があります。
木の葉の表現は、板状のメッシュ(ポリゴン)を密集させて重ねる仕組みになっていることがほとんどです。ですが、このような板ポリゴンの大量重ねは、VRではパフォーマンスのネックになりやすいです。ポリゴン数は少なくても、近距離では描画負荷が高くなり、フレームレートが大きく落ちることがあります。さらに、透明ポリゴンが重なることで「ちらつき」も発生しやすく、没入感を損なう要因となります。これを解決するにはいくつかの方法があります。
かなり遠い所に配置する場合は、細かい形状までは見えないため、シンプルな形でも十分に成立します。
「Imposter」という機能で4,000以上のポリゴンをたった2枚の板状メッシュに置き換えてくれるのです。これにより、描画負荷を大幅に軽減しつつ、見た目の印象を保つことができます。
近くに見える場合はどれほど近づくかによって、手動で板状メッシュの削減やテクスチャー調整が必要になります。これは森の制作と共に、次回のTreeItに関する投稿で詳しくご紹介します。
2.テクスチャー
サンプルライブラリの素材が合わない場合でも、ネット上で見つけた画像を使用でき、色の調整もPhotoshopなどの画像編集アプリで簡単に行えます。
3.各パーツの位置、スケール、回転
木の各部分の位置、スケール、回転はすべて「...Shape」セクションで調整できます。変更はリアルタイムで表示されるため、実験しながら好みの形を見つけやすくなります。
TreeIt内で制作されたコンテンツは、ライセンスに関係なく自由に使用したり、販売したりすることができます。一方で、古いソフトであるため、近日中にアップデートされることはなかなか期待できないと思います。
今回はソフトの基本的な操作方法と特徴を中心にご紹介しました。 次回は、制作した木やプリセットを活用して、実際にUnity上の森作成の流れをご紹介していきたいと思います。