現実をそのままに表現する技術「Gaussian Splatting」をUEで扱う

レンダリング

現実の質感や奥行きを忠実に再現できる技術「ガウシアンスプラッティング(Gaussian Splatting)」は、

映像制作においても注目されています。

積木製作では、様々な分野に最適な高精度を実現する3Dスキャナー「Lixel L2 Pro」を導入しています。

本記事では、「Lixel L2 Pro」で取得した点群データを用い、

Unreal Engine(以下UE)上での可視化手順をご紹介します。

 

 

 UE用SDKの導入

 

まず、UE用のSDKが提供されているので、以下のリンクからダウンロードします。

今回はUE5.3を使用しております。

LCC Unreal SDK ue5.3

 

Blueprintプロジェクトで扱うため、プロジェクトフォルダにPluginsフォルダを作成し、

その中にダウンロードしたSDKデータ一式を配置します。

 

 

 プラグインの有効化

 

UEを起動後、PluginsメニューからSDKプラグインが正しく認識されているか確認します。

 

 

 レベルに配置 & .lccファイル読み込み

 

LCCActorをレベルに配置

 

 

Select Fileから.lccファイルのパスを指定

 

 

これだけで、GSデータのビジュアライゼーションが完了します。

次に、映像制作においてどういった利用ができるのか、制限なども含めて検証してみました。

 

 映像制作用途での検証

 

LCCアクターは以下のような特性を持っており、映像制作に応用することが可能です。

 

・ライトモードを「Lit」に設定すれば、UEライトアクターの影響を受ける。

・Replace Tonemapを無効にすれば、UEポストプロセスも有効になる。  

 

ディレクショナルライト、ポイントライト等のUEライトアクターの影響を反映させることができます。  

 

トーンマップ置き換えをキャンセルすることでUEポストプロセスを有効にできます。

 

 

 シャドウ表現の課題と対応策

 

実際のユースケースとして、建築ビジュアライゼーション(建築Viz)を想定し、建物アセットを配置して

さらに検証してみました。

 

 

しかし、ここでまず課題となったのが影の相互作用です。

・UE上に配置したアセットの影が、GS(神社モデル)に落ちない

・逆に、GS側の建物の影もアセットには影響しない

 

 

動的ライトの影をGSに反映させるプラグインも存在するようですが、今回は映像制作向けのワークフロー

として、以下のような対応を行いました。

 

①ダミーメッシュによる影の代替

 

GSの建物と同じ位置にBoxメッシュを非表示で配置し、

 

 

アセット側に正しい影を落とすように設定し無事、反映できました。

 

 

②GS上に影を落とす

 

つぎにGSモデル自体に影を落とすことは難しいため、今回は影のみをレンダリングして、

After Effectsで合成する手法を取りました。

 

 

手順としては、

 

1・UEで「影だけのパス」を出力

2・影を落とすダミーのジオメトリを床面に敷く

3・AEでその影素材を合成し、実際のGS映像に重ねる

 

こちらが最終的なコンポジット映像の一部です。

 

 

GS建物の影を反映し、GS上にも追加アセットの設置影を落とすことができました。

以上、映像制作用途での検証結果でした。

 

Gaussian Splattingは、非常に軽量かつ高速に表示できるという強みを持っています。

UE上でも手軽にビジュアライズでき、今回のようにスキャンデータからすぐに絵作りへ持ち込めるのは

大きな利点です。

今後のアップデートやプラグインの進化に期待しつつ、

現状でも「軽く・速く・リアルに」見せたい場面では、有効な選択肢の一つになりそうです。

 

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